Christmas Gift for… “Special” -Antique Watch IWC Old Inter –
今月より始まりました、
この時期恒例の「Christmas gift for…」シリーズ。
今回はスペシャルと題しまして、
文字通り
ご自身へ、そして大切な方への「特別」なギフトとして
とっておきの一本をご紹介いたします。
IWC “Old Inter” 18KYG case
歴史あるスイスの名門ブランド、”IWC”のアンティーク時計。
IWCのアンティーク時計は、”オールドインター”の呼び名で親しまれ、
アンティーク時計愛好家たちの中でも高い人気を誇っております。
こちらは10月のヨーロッパ買い付けにて、一際目を惹くその佇まいに惚れ込み選んできた一本。
多くを語らずとも、醸し出される古雅な雰囲気に
一目見て”良いモノ”であることが伝わることかと思います。
私たちがアンティーク時計の買い付けにおいて、
一番大切にしているのがその”面構え”。
ブランドや希少価値云々よりもまず、
手に取りたい、身に着けたいと思う顔かどうか。
そういった意味では、こちらの時計は十分すぎるほどの一本です。
しかしながら、その背景や蘊蓄もまたアンティーク時計の醍醐味。
そこでまずはそのブランドとしての魅力を、IWC社の歴史から紐解いてまいりたいと思います。
遡ること今から150年以上前の1868年。
当時のスイスでは既に時計産業が盛んではあったものの、
それらは熟練の職人の手によって作られる富裕層向けの高級品としての側面が強い状況でした。
一方で、生産の自動化・効率化に成功したアメリカ最古の時計ブランド、
ウォルサムを中心とするアメリカの新興メーカーたちが時計の大量生産を実現し、
そのシェアを拡大していきます。
これをきっかけにスイスの時計産業も転換期を迎え、
それまでの分業体制での生産からマニファクチュールとして
一貫製造を行う生産体制に切り替えていきます。
“良いものを効率的に生産することが市場の獲得・拡大の鍵を握る”
そうした時流をいち早く捉えたのが、アメリカ、マサチューセッツ州ボストン出身の時計師、
フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズその人です。
ジョーンズは、アメリカ式の合理的な生産体制にスイス式の伝統的で卓越した技術を取り込むことで
高品質かつ効率的な生産体制の確立ができると確信し、
その実現を目指してスイスへ渡り、IWCを創業しました。
多くの名門時計ブランドがジュネーブやジュラ地方などのスイス西部に本拠地を構える中、
彼はスイス北端のシャフハウゼンにその地を構えることを決意します。
当時のシャフハウゼンでは近隣を流れるライン川を利用した水力発電所の開発が進んでおり、
また鉄道が通っていたことが物資の供給や販売ルート確保にも役立つため、
彼の描く合理的な生産体制の確立にはうってつけでした。
これによってIWCはいち早くオートメンション化、マニファクチュール化を成功させていきます。
まず、創立におけるこうした背景からもIWCがいかに革新的なブランドであったかが窺えます。
アメリカの開拓者精神とスイスの伝統的な技術の融合を見事に成功させたIWCは
天文台コンクールやクロノメーター規格には参加することはありませんでしたが、
優秀級クロノメーターを上回る独自基準を設け徹底した品質管理の下、
顧客ニーズに応じた高級時計の制作に取組み、その知名度を高めていきました。
そうしたIWCが作り出す時計は、耐久性や精度の高さ、仕上げの良さから高い評価を受けていき、
その後第一次世界大戦をきっかけに腕時計の需要が高まる中、
IWCも1915年から本格的に腕時計に参入していきます。
ここから1940年にかけてパイロットウォッチやポルトギーゼなどのブランドを代表する名作が誕生します。
そして1944年、IWCにとっても時計史においても一つの転換期を迎えます。
時計史に名を刻む名技士、アルバート・ペラトンが
名門ヴァシュロン・コンスタンタンよりIWCに技術責任者として迎え入れられたのです。
ペラトンは高精度ムーブメント、”キャリバー89 “や、
ムーブメントを磁場から守る軟鉄製インナーケース、
自動巻き機構の最高傑作と謳われるペラトン式自動巻”キャリバー85″などを世に送り出します。
そうした彼の活躍はIWCに限らず、時計史に残る功績と言って過言ではないでしょう。
その後もペラトンに師事したクルト・クラウスら名技術者がIWCを支え、その地位を不動のものへとしていきます。
これらの歴史から、IWC革新性と高い技術力を持ったブランドであることがわかるでしょう。
また、先述したジュネーブやジュラ地方がフランス語圏であるのに対して、
このシャフハウゼンという土地はドイツ語圏であり、そこで働く職人たちが
マイスター制度を有する伝統的なドイツのモノづくり精神を受け継いでいるということが
IWCの時計が”質実剛健”と称される所以でしょう。
実際にIWCは”クラフツマンシップ”を企業理念に掲げ、
“オルロジェ・コンプレ”(スイス政府が万能時計職人の育成機関として公的に認定するライセンス)
を取得した唯一の時計メーカーでもあります。
加えてドイツ文化の影響は、そうした技術面に留まらず、デザインの面でも受け継がれており、
名作、”パイロットウォッチ”に代表されるような無駄の無い、シンプルで実用的なデザインは
ドイツのバウハウスの合理的且つ機能美的な価値観に通じます。
こうした背景から、IWCの時計は今日もなお、他のスイスブランドと一線を画し、
高い技術と洗練されたデザイン性から世界中の愛好家から支持を集めているのだと言えます。
歴史・背景が見えてきたところで、
続いてはこの時計の何を持ってして”良い顔”と感じるのか
個体としての魅力に迫ってまいります。
ケース番号、ムーブメント番号から推察するに、
こちらの時計が誕生したのは先述したペラトンの活躍する1940代後半から1950年にかけての時代。
二度に亘る世界大戦を終えて、時代が、文化が大きく移り変わっていく中で生まれた一本。
腕時計においては、戦中に浮き彫りとなった様々な課題に対して、
それまでの機能面や実用性にさらなる改良が進められ、
それと同時に前後の復興から徐々に余裕を持ち始めた人々に、
デザイン性が高くケース素材に金を用いたドレスウォッチの需要も再び高まり始めた時代でした。
こちらの時計もそうした時代背景を写し出すドレスウォッチの一本です。
純白のホワイトダイヤル。
センターを飾るのは”International Watch Co.”の筆記体ロゴ。
シンプルな文字盤にはこの筆記体がよく映えます。
その下には”SHAFFHAUSEN”の名が刻まれております。
インデックスは「12・2・4・6・8・10」偶数の飛びアラビアとクサビのコンビネーション。
数字が入ることで時間の認識もしやすく、
間を繋ぐクサビインデックスがスッキリとした印象を与え
IWCらしいシンプルで洗練されたデザインとなっております。
加えて、立体的なゴールドのアップライト仕様のインデックスと
エンボス仕上げのドットミニッツマーカーなどの手の込んだ意匠が
高級感を漂わせてくれます。
ケースは18Kの金無垢素材。
洗練されたデザインとも相まって、決していやらしさを感じさせることなく
程よく豪華な印象を与えてくれます。
ラグは流線的な雫型のティアドロップ。
アールデコの流れを汲むこの意匠はこの時代に特徴されるもので、
クラシカルでドレッシーな印象を与えるのに一役買ってくれております。
ベゼルも曲線的なステップベゼル。
横から見た時のくびれが美しく、決して華美過ぎることの無いミニマルな装飾は
飽きること無く世代を超えてご愛用いただけることでしょう。
35mmのケースサイズは大き過ぎず小さ過ぎない絶妙なバランスで、
性別や体型を問わず腕に馴染んでくれます。
搭載されるのは、先述したペラトンが開発した名機、Cal.89。
その完成度の高さから、
1946年の発売からおよそ30年間ほとんど仕様の変更なく生産され続けた
IWCを代表する手巻き式ムーブメント。
デザイン性の高さもさることながら、その実力も折り紙付きです。
組み合わせるストラップはダークブラウンの本クロコ。
艶やかなクロコレザーとゴールドケースがお互いを引き立て輝き合いながらも
ダークブラウンとイエローゴールドの組み合わせが
程よく落ち着いた印象を与えてくれるので
これからの時期はクラシカルなツイード生地との相性が抜群です。
ブランドとしてのバックグラウンドはもちろんのこと、
個体としての魅力も十分に詰まった至極の逸品。
気合を入れたい勝負時、自らを奮い立たせてくれる心強い味方として。
ホッと一息ついた時、ふと視線を落とすと腕元で輝き
変わらずに時を刻み続ける姿に癒される
そんな日常に寄り添う相棒として。
価格以上の価値ある、自分だけの特別な一本。
頑張る自分へ、大切なあの人へ、
クリスマスという特別な日の贈り物として
この世界にただ1つだけのアンティーク時計という選択肢。
私たちが自信を持ってお届けするこちらの一本はいったいどなたが、
どのようなストーリーを持ってお選び下さるのでしょうか。
あなたの元へ迎え入れられる、その時を心待ちにしております。
IWC “Old Inter” 18KYG case ¥550,000(tax included)
年代:around 1950s
ムーブメント:Cal.89(手巻)
ケース素材:18金イエローゴールド
ケース幅:35mm(リューズ含まず)
ベルト幅:18mm
6ヶ月保証
※専門の技師によるオーバーホールを終えた後にお渡しさせて頂きます。
taro
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