1930’s OMEGA patina dial -beauty in everyday crafts-
皆さんこんにちは、taroです
生活を彩るインテリアから、本日はより身近な、
日々の暮らしに寄り添うアンティークをご紹介いたします
唐突ではありますが、皆さんは
東京国立博物館に展示される「雨漏堅手茶碗」をご存じでしょうか
数ある展示品の中でも、私がとりわけ好きな逸品
16世紀、李氏朝鮮時代に作られた
じんわりとにじむ雨漏りのような跡が特徴の器
それは長年の使用や保管の中で、
釉薬の下に染み込んだ痕が生んだ“景色”
いわば、時が器に刻んだ記憶です
この景色を美と捉える感性は、
「用の美」という日本独特の美意識と深く結びついています
日々の暮らしの中で使われてきた道具に宿る、
機能美と経年の美しさ
それは、ただの“古さ”ではなく、
使い込まれたからこそ立ち現れる深みであり、静かな余韻です
スイスの名門・オメガ社によって製造された
今回ご紹介するこの一本の腕時計にも、
その「用の美」が静かに息づいています
1930’s OMEGA patina dial watch
オメガは1848年に創業され、
精密な時計作りで知られたスイスの老舗ブランド
1930年代は機械式腕時計が技術的にも美的にも成熟していった時代
この時計もまた、当時の高い完成度を物語る一本です
控えめながらも優美なファンシーラグ
文字盤に刻まれた“OMEGA”のロゴ
静かに鮮やかな輝きを放つブルースチール針
そして小窓でリズムよく時を刻むスモールセコンド
どれもが、道具としての機能を追求しながら、
美しさを決して損なわない絶妙なバランスで成り立っています
そしてシャンパンカラーの文字盤には、
時を重ねて生まれた柔らかなパティーナが広がり、
わずかな色むらや微細な斑点が独自の表情を作り出しています
パティーナとは、長年の使用や環境の変化によって自然に現れる、
金属や文字盤の風合い・色味の変化を指します
長い年月をかけて空気中の湿気、紫外線などが作用し、
わずかな焼けや斑点として現れるその様は、
まるで時が降り積もった痕跡のようです
言い換えるなら、
パティーナは時計にとっての“雨漏り”のようなもの
器に滲んだ染みが景色として受け入れられるように、
時計の文字盤に刻まれたこの自然な変化もまた、
唯一無二の魅力を生み出しています
雨漏茶碗のように、傷や汚れに見えるものが、
実は時と共に育った美しさとして受け入れられる
そんな視点からこの時計を眺めると、
その静かな佇まいに、より深い味わいを感じることができるはずです
時を刻む道具が、刻んできた時間によって自らも変化していく
その変化は、精密に作られた機械の表面に、
人の暮らしと時間の温度を映し出す風景を描き出します
それは人工的に再現できない、時間だけが与えてくれる贅沢な美しさ
この時計は、華やかさで主張するのではなく、
使われ、受け継がれてきた静かな風格で語りかけてきます
まるで、暮らしの中でそっと佇む器のように
1930’s OMEGA patina dial watch ¥298,000 (tax included)
年代:1938年
ムーブメント:cal.26.5 SOB T2(手巻き)
ケース幅:32mm
ベルト幅:18mm
6ヶ月保証
※専門の技師によるオーバーホールを終えた後にお渡しさせて頂きます。
アンティーク時計は、
時を告げるだけでなく、時そのものの美しさを映す道具
今を生きる私たちの手元にも、
そっと「用の美」を届けてくれる一本です
その美しさと、時を纏った静かな存在感を、
ぜひ、実際に店頭で手に取って感じてみてください
taro
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