CYMA “WATERSPORT”
皆さんこんにちは、taroです。
本日はeimekuの中でも、
私自身がとりわけ贔屓にしているジャンルである
アンティーク時計について綴らせていただきます。
アンティーク時計の魅力は、
単純なスペックや資産価値だけでは語れません。
その時計が、
どんな時代の中で生まれ、
どんな人の手を渡り、
どんな景色を見てきたのか。
そこに思いを巡らせることができる。
古い時計には、
そんな “想像の余白” や “ロマン” があるように思います。
今回ご紹介するのは、
まさにそれを感じさせてくれる一本。
1930〜40年代頃に製造された、
CYMA “WATERSPORT” です。




CYMAは1862年創業のスイスブランド。
アンティーク時計の世界では、
ロレックスやオメガのような華やかな知名度とは少し違い、
「良い時計を知っている人が、静かに惹かれるブランド」
として知られています。
特に1930〜40年代頃のCYMAは、
・防水
・耐震
・高精度
といった、“実用時計”としての技術力に定評がありました。
実際にCYMAは、
第二次世界大戦中にイギリス軍へ正式採用された
“ダーティーダース”の一角としても知られています。
ダーティーダースとは、
イギリス国防省が軍用時計の厳格な基準を満たすために選定した、
わずか12社のスイスメーカーの総称。
その中には、
オメガやIWC、ジャガー・ルクルトといった
名だたるブランドも含まれていました。
つまりCYMAは、
単なる知る人ぞ知るブランドではなく、
「極限環境でも信頼できる時計を作れるメーカー」
として、
国家レベルで認められていた存在でもあります。

軍用時計や防水ケース、
優秀な手巻きムーブメントなど、
今なお評価される名作も多く存在します。
華美な装飾やステータス性ではなく、
“真面目に良い時計を作る”。
CYMAには、
そんな空気があります。
だからこそ、
派手ではないけれど、
古い時計を好きな人ほど惹かれてしまう。
そんなブランドなのかもしれません。

今回の個体は、
1930〜40年代頃の
CYMA “WATERSPORT”。
当時としては珍しい、
角型の防水ケースを採用したモデルです。
さらに文字盤には、
“SHOCK-ABSORBER”
の表記。
防水性だけでなく、
耐震性まで意識されていたことがわかります。

現代では当たり前にも思える機能ですが、
当時の腕時計にとって、
それはまだ“先進性”そのものでした。

腕に沿うように、ややカーブを掛けて作られたケース。
そこに立体的なドーム型のプラスチック風防。

焼けたアイボリーカラーの文字盤に、
細いアラビア数字。
ローズがかった針と、
小さなスモールセコンド。

22mmのケースは、腕への収まりも良く
男女問わずにお楽しみいただけるサイズ感。

どこかアールデコの香りを残しながら、
実用品としての力強さも感じるデザインです。
特にこの “WATERSPORT” というペットネームが、
この時計の魅力をより印象的なものにしています。

現代の感覚で
“WATERSPORT” と聞くと、
ダイバーズウォッチやスポーツウォッチを想像するかもしれません。
ただ、
この時計が作られた1930〜40年代は、
まだ“防水時計”そのものが特別だった時代です。
腕時計はまだまだ繊細で、
汗や湿気、
突然の雨ですら、
故障の原因になり得た頃。
そんな時代の中で、
「水に強い」
「衝撃に強い」
というのは、
時計にとって大きな価値でした。

しかも面白いのは、
この時計が“角型”であること。
本来、
防水時計は丸型の方が構造的に有利です。
それでもCYMAは、
機能性だけではなく、
美しさや装飾性も両立しようとした。

だからこの時計には、
スポーツウォッチの原型のような実用性と、
クラシックなドレスウォッチの品の良さ。
その両方が共存しています。

1930年代頃、
人々の暮らしは少しずつ変わり始めます。
車に乗り、
旅に出て、
腕時計を着けたまま生活する。
そうした“モダンライフ”が広がっていく中で、
時計にも実用性が求められるようになっていきました。
この “WATERSPORT” という名前には、
そんな時代の空気が詰まっているように思います。

この時計が生まれた時代。
どんな服装で、
どんな街を歩き、
どんな暮らしの中で使われていたのか。
あるいは、
雨の日に袖口から覗いていたのかもしれないし、
旅先へ連れて行かれていたのかもしれない。
そんな想像が自然と浮かんでくる。

それは、
ただ古い物だからではなく、
その時計が確かに時代を生きてきたからだと思います。

焼けた文字盤も、
小さな傷も、
経年変化したケースも。
その全てが、
この時計だけの時間です。
そして約80年以上の時を経て、
今こうして、
自分たちの手元にある。
アンティーク時計の魅力は、
そうした背景ごと受け継げるところにあるのかもしれません。
“想像の余白” や “ロマン”。
この CYMA “WATERSPORT” は、
そんな言葉がよく似合う一本です。

CYMA “WATERSPORT” ¥ 184,800(tax included)
年代:1930-40’s
ムーブメント:cal.(手巻き)
ケース幅:22mm
ベルト幅:16mm
6ヶ月保証
※専門の技師によるオーバーホールを終えた後にお渡しさせて頂きます
taro
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