ROLEX “SPEEDKING” SUPER OYSTER CROWN Ref.6020

皆さんこんにちは、taroです。
明日、8/1(sat) からはいよいよ
eimeku ANTIQUES FAIR 2026
が始まります。
今回も自信を持ってご紹介できる良品ばかりを揃えることができました。
まずは今回の主役となる一本について、語らせていただきます。
01|出会い

1月のヨーロッパ買い付け。
旅の最後に訪れたのは、ロンドンで開かれるアンティークフェア。
開場と同時に、会場の空気が一気に動き出す。
次々とショーケースを開けるディーラー。
そのガラス越しを覗き込み、ルーペを片手に時計を見定めるバイヤー。
そこにあるのは、値札ではなく、一瞬の判断。
この世界では、誰もが知っている。
良いものは、迷っている間になくなる。
私たちも足を止めることなく、会場の奥へと進んだ。
「次はいつ出会えるかわからない。」
そんな一本が、静かに並び始める。
その最奥に店を構える、一人のディーラー。
近頃ではめっきり見かけなくなったバブルバックをはじめ、
思わず時間を忘れて見入ってしまうような時計が静かに並ぶ。
決して派手ではない。
けれど、そのブースだけは自然と人が足を止める。
旅も終盤。
残されたのは、限られた予算と時間。
オーナーと最後まで悩み、交渉を重ね、託していただいたのが、この一本だった。
あのロンドンの熱気の中で、私たちが最後に選んだ時計。
それが、こちら。



ROLEX “SPEEDKING” SUPER OYSTER CROWN Ref.6020
02|魅力
正直に言えば、最初に惹かれたのは歴史でも、希少性でもありませんでした。
ただ、純粋に美しいと思ったのです。

積み重ねてきた時間を物語る、やわらかく焼けた文字盤。
一つひとつ丁寧に彫り込まれた飛びアラビア数字と、それを引き立てるクサビ型のインデックス。

時間とともに深みを増したブルースチールの針。

そして、男女問わず自然と腕に馴染む、約30mmという小ぶりなケース。
決して派手な時計ではありません。
それでも、何十本もの時計が並ぶ中で、不思議と目が離れませんでした。
古い時計には、「珍しい」ものは数多くあります。
けれど、「美しい」と心から思える一本は、そう多くありません。

私たちが惹かれたのは、その希少性ではなく、
70年以上の時を経てもなお色褪せない、この佇まいでした。
だからこそ、この時計を日本へ連れて帰りたいと思ったのです。
03|確信
時計を手に取り、ふとリューズへ目をやる。
そこに刻まれていたのは、“SUPER OYSTER” の文字だった。

「気付いたかい?」
ディーラーがそう言って微笑む。
「これは、スーパーオイスターなんだ。」
その一言で、この時計の見え方が変わった。

ロレックスの代名詞ともいえる「オイスター」。
牡蠣(Oyster)の殻のように隙間なく密閉されたケース構造は、当時としては画期的な防水時計でした。
しかし、その高い防水性を支えていたねじ込み式リューズは、
毎日ゼンマイを巻く手巻き時計にとっては、少し手間のかかる構造でもありました。
そこでロレックスが挑んだのが、このスーパーオイスターです。

ねじ込み式とは異なる独自の構造で、防水性と操作性、その両立を目指したリューズ。
採用された期間はごく短く、現存する個体も決して多くありません。
完成形ではなかったのかもしれません。
けれど、その短い挑戦があったからこそ、今日のロレックスへと繋がっていきます。

私たちが惹かれたのは、「スーパーオイスター」という珍しい名前ではありません。
もっと良い時計をつくろうと、試行錯誤を重ねていた時代のロレックス、その挑戦の跡でした。
ヴィンテージの価値とは、古いことでも、希少であることでもない。
その時代にしか生まれなかった思想や挑戦が、今も一つの形として残っていること。
だからこそ、この一本はeimekuでご紹介したい時計だと、確信したのです。
04|思想

現代のロレックスと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは、高級時計というイメージかもしれません。
けれど、このSpeedkingが生まれた1940〜50年代のロレックスは、少し違いました。
目指していたのは、華やかさではなく、毎日安心して使える腕時計。
防水ケースを開発し、より丈夫に。
より正確に。
より長く使えるように。
そんな実用品としての進化を、一歩ずつ積み重ねていた時代です。
Speedkingもまた、その思想の中から生まれた一本でした。

約30mmという控えめなケースサイズ。
手巻きだからこそ感じられる、毎日ゼンマイを巻く時間。
決して華美ではありません。
けれど、そこには「道具は使われてこそ価値がある」という思想が、静かに息づいています。
私たちがヴィンテージに惹かれる理由も、きっとそこにあります。
古いからではない。
高価だからでもない。
誰かの暮らしを支えるためにつくられ、その役目を果たしながら時代を越えてきたこと。
その積み重ねこそが、この時計の一番の魅力なのだと思います。
05|共生

70年以上も前につくられた時計。
そう聞くと、多くの方は「もう飾って楽しむものなのでは」と思われるかもしれません。
けれど、このSpeedkingは違います。
朝、リューズを回してゼンマイを巻く。
時間を合わせ、腕に着ける。
そして一日の終わりに腕から外し、また翌朝、静かにゼンマイを巻く。
その繰り返しは、決して便利とは言えません。
けれど、そのひと手間が、この時計と向き合う時間になります。

現代には、もっと正確で、もっと便利な時計が数多くあります。
それでも、この時計を選びたくなる理由がある。
それは、この時計が時間を知るための道具であると同時に、時間を味わうための道具でもあるからです。
かつて誰かの日常を刻んできたこの時計は、今また新しい持ち主の時間を刻み始めます。


ヴィンテージとは、過去を懐かしむものではありません。
これから先も使い続けることで、新たな時間を重ねていくもの。
私たちは、そう考えています。
06|時を纏う


私たちが惹かれるのは、アンティークウォッチだけではありません。
ヴィンテージのワークやミリタリーウェア。
古い道具や家具。
どれも、本来は「使うため」に生まれたものです。
効率や機能を追い求め、その時代を生きる人々の暮らしを支えてきた実用品。
だからこそ、役目を終えた今もなお、美しさを宿しているのだと思います。

このSpeedkingもまた、同じです。
華やかさを競うためではなく、毎日をともに過ごす時計として生まれた一本。
だからこそ、ワークジャケットやミリタリーウェアといった、
本来「働くため」に作られた服とも、不思議なほど自然に馴染みます。
それはデザインが似ているからではありません。
実用品として生まれ、長い年月を経てなお使い続けられている。
その背景にある思想が、どこか共鳴しているからです。

私たちは、ヴィンテージを現代の暮らしの中で楽しんでいただきたいと思っています。
特別な日にだけ身につけるのではなく、いつものシャツに、いつものジャケットに。
気負うことなく腕に着け、暮らしの中で新しい時間を重ねていく。
そうして誰かの日常に寄り添いながら、また次の世代へと受け継がれていく。

ヴィンテージとは、過去を懐かしむものではなく、未来へ繋いでいくもの。
ロンドンで私たちが出会ったこのSpeedkingもまた、これから新しい持ち主とともに、
新しい物語を刻んでいく一本になれば嬉しく思います。
時を知るためではなく、時を纏うために。

ROLEX “SPEEDKING” SUPER OYSTER CROWN Ref.6020 ¥598,000(tax included)
年代:1951年
ムーブメント:cal.710(手巻き)
ケース幅:30mm
ベルト幅:17mm
6ヶ月保証
※専門の技師によるオーバーホールを終えた後にお渡しさせて頂きます
※掲載しておりますビンテージ・アンティークなどの一点ものにつきましては
原則として店頭優先とさせていただきます。
つきましてはお取り置き・通販対応のご希望に沿えない場合がございます。
予めご了承ください。

eimeku ANTIQUES FAIR 2026
明日、8/1(sat) 12:00より、開幕いたします。
心に残る出会がありますことを祈って、
皆様のお越しを楽しみにお待ちしております。
taro