International Watch Co. Cal.853 (Pellaton Winding System)

皆さんこんにちは、taroです。
数多くのアンティーク時計が並ぶ今回のフェア。
本日はその中でも、個人的にも愛用する、
思い入れの強い一本を語らせていただきます。
01|愛用
アンティーク時計を好きになってから、
お店や買い付け、プライベートでもたくさんの時計に触れてきました。
ブランドごとに個性があり、それぞれに惹かれる理由があります。
その中でも、私が特別な思いを抱いているブランドがIWCです。

私自身も、そして私の父もまた
オールドインターを愛用しています。
そして二人で時計の話になると、決まってこんな会話になります。
「これ、本当に今でも全然使えるよね。」
70年近く前につくられた時計でありながら、実用品として今なお使い続けられる。
その理由は何なのか。
私がIWCに惹かれる理由も、そこにあります。
02|魅力

International Watch Co. Cal.853 (Pellaton Winding System)
今回ご紹介するのは、Cal.853を搭載したオールドインター。
私がこの時計に惹かれた理由は、ペラトン式自動巻機構だけではありません。
まず心を掴まれたのは、その静かな佇まいでした。

柔らかく焼けた文字盤。

主張しすぎないゴールドケース。

細く伸びたラグ。

控えめな筆記体ロゴ。
この個体は、文字盤、針、ケースまでが長い年月を経て同じ温度感へと変化しています。
意図してつくることのできない、その調和もまた、私が惹かれた理由の一つです。
それらは、どこか一つが突出して目立つわけではありません。
けれど、それぞれの要素が絶妙なバランスで調和し、一つの時計として完成されています。

華やかさではなく、静かな品格。
腕へ着けると、不思議とその人の装いに馴染んでいく。
そんな魅力があります。
そして、この一本を眺めていると、自然と一つの疑問が浮かびます。

なぜIWCは、このような時計をつくったのだろう。
その答えは、このブランドが長年大切にしてきた時計づくりの思想にありました。
03|思想
IWCの魅力は、美しいデザインだけではありません。
時計づくりに対する考え方、そのものにあります。

華やかな装飾を競うのではなく、
毎日安心して使えること。
長く使い続けられること。
時計としての完成度を高めること。
そんな実用性を何よりも大切にしてきたブランドでした。

だからでしょうか。
この時計には、不思議な静けさがあります。
派手ではない。
けれど、長く眺めても飽きることがありません。
日本には「用の美」という言葉があります。
実用性を追い求めた先に宿る美しさ。
私は、この時代のIWCほど、その言葉が似合う時計を知りません。
04|ペラトン

その思想を最も象徴するのが、このCal.853に搭載されたペラトン式自動巻機構です。
1950年代、自動巻時計は各社が技術を競い合う時代でした。
より効率よく巻き上げること。
より耐久性を高めること。
各メーカーが、それぞれの答えを模索していました。
そんな中、IWCの技術者アルベルト・ペラトンが考えたのは、
既存の仕組みを改良することではなく、仕組みそのものを見直すことでした。
腕の動きを効率よくゼンマイへ伝え、長く使い続けられる耐久性も備える。
それは、新しい技術を生み出すことではなく、
毎日使う時計を、もっと良い道具にするための技術でした。

そして、その思想はムーブメント全体にも表れています。
当時、多くのメーカーが競うように薄型化を進める中、IWCはあえてその流れを追いませんでした。
薄さという美しさよりも、長く安心して使えること。
耐久性を確保するために必要な厚みを残す。
その判断にもまた、IWCらしい誠実な時計づくりを見ることができます。

そうしたペラトン式は現在も改良を重ねながら受け継がれています。
一つの機構ではなく、一つの思想。
だからこそ、今なおIWCを代表する存在であり続けているのでしょう。
05|用の美

ペラトン式自動巻機構の価値は、実際に使うことでより深く実感できます。
私自身、このCal.853の搭載機を日常的に愛用しています。
朝、腕に着けて出かける。
仕事をし、帰宅する。
そんな何気ない一日を過ごすだけで、
日常使いの中で巻き上げ不足を意識する場面はほとんどありません。
もちろん、アンティーク時計ですから、適切なメンテナンスは欠かせません。
それでも、この安心感は特別です。
そして、その実用性は装いにも表れます。

一般的にはドレスウォッチとして紹介されることの多い一本ですが、
私が例えるならば、シルクや上質なウールではなく、デニムやツイード。
美しさを求めた結果ではなく、実用性を追い求めた結果として生まれた佇まい。

だからこそ、スーツスタイルにはもちろんのこと、ワーク・ミリタリーとの相性も良い。
そうした本来”道具”として生まれた服とも、驚くほど自然に調和します。
私にとって、このIWCはドレスウォッチというよりも、用の美を体現した実用時計なのです。
だから私は、この時計をドレスウォッチではなく、”実用時計”として身に着けています。
06|継承

流行は移り変わります。
けれど、本当に良い道具は、時代が変わっても使い続けることができます。
だからこそ、70年近く経った今も、この時計は腕元で静かに時を刻み続けています。
それは、IWCがつくったのが「古い時計」ではなく、
「長く使うための時計」だったからなのかもしれません。

私もまた、この先何十年と、愛用するオールドインターを使い続けていきたいと思っています。
そして、この一本もまた
次の持ち主の日常の中で、新たな時間を刻んでいく時計となることでしょう。
そんな未来を、ぜひあなたの腕元で描いていただけますと幸いです。
taro

International Watch Co. Cal.853 (Pellaton Winding System) ¥298,000 (tax included)
年代:1960年
ムーブメント:Cal.853(自動巻)
ケース幅:34mm
ベルト幅:18mm
6ヶ月保証
※専門の技師によるオーバーホールを終えた後にお渡しさせて頂きます
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