2019 初夏 欧州渡航記 @Kodaira
飛行機 20,000km
車 3,900km(英国2,400km / ユーロ1,500km)
アンティーク、ビンテージ仕入れに絞り、前回の旅にて回れなかったベルギーを経由し、15日間の旅路、帰国しました
皆様に先に公開させて頂いておりますインスタグラムの記録
@eiji_kodaira
より、同行タロウ氏の活躍含め、追記を足してお届けいたします
THE GRAND BUDAPEST HOTEL
AIR FRANCE / AF0293 Tokyo-Paris (HND-CDG) B777-300ER
2回レンタルするも、タイミングを逃し、見れなかった映画に機内にて辿り着けた
ストーリー展開もさながら、建築のデザインや使用しているロゴやフォント、どれも胸に突き刺さる
次は構図、画像の構成がシンメトリー(左右対称)になっているものが多く
私の好きな写真の構図とくっきり似ておりグッと興味を注がれる一因
ストーリーもこれまた世界史好きにはたまらない
戦争が近い1930年代の架空の国をモチーフ(恐らく東欧の国)にしているのですが
劇中で使用されている、インテリア、雑貨や当時の旅行者のいでたち
お菓子の箱一つとっても、全部仕入れたい程エイメク/ブラウベルグのルーツが詰まっており
離陸後始まる仕入れに備え、武者震いを抑えられずユーロ入り
THE GRAND BUDAPEST HOTEL
アンティーク、雑貨、服飾、グラフィックデザイン、建築、世界史好きな方は必見
AIR FRANCE / AF1680 Paris-London (CDG-LHR) A-321
Antiques Fair
4月のヨーロッパは予想以上に寒い
到着時0度
タラップを降りこの風を感じると、2006年スーツケースが紛失し、防寒具が全くないまま4月の雪降るベルリンを回り
キレイに決まった6-4-3のダブルプレーとばかり、高熱を出しKOされた記憶が蘇ります
今となっては懐かしい思い出が脳裏をよぎり、新パートナータロウ君を交えての仕入れがスタート
St Stephen’s Church – LONDON
ロンドン教会でのビンテージフェア
空間の持つ圧倒的な存在感が何よりも商品を引き立て、我々バイヤーの気持ちも高揚させる
仕入れに勤しみながら、ふと耳に心地よい音が
バンドの演奏が始まり、最高のハコにカーディガンズみたいなバンドは正にオアシス
最高のロケーションで仕事が出来ているこの瞬間こそ日本では味わえない贅沢なのだろう
やはり5感全てに感じさせてくれる事がお客様にとっても常に求められている事と認識し思わず立ち止まる
日本でも、文化財を積極的に貸し出し雑貨、ファッションの展示会しましょう!
彼女のコレクションを見るのが楽しみでしょうがなかった、アンティークフェアのブースから忽然と姿を消した
会いたい一心で途絶えた連絡先をつてのつてを辿り教えてもらいメッセージを残し続け
念願のお店のオープン最初のお客様になれたのは1年前の事
イングランドを訪れるもう一つの楽しみは、私が師とも呼んでも良い位のエイメク – ブラウベルグには欠かせない
彼女のヴィンテージスタッフ、ユニセックスのコレクションを見に行く事
しかしながら彼女は念願のお店を持ち1年経過せず癌に侵されました…..
この仕事を始めて18年目になると沢山の出会い、別れもまたある….
安否思う事、今回の旅にて最もドキドキしたアポイントを取ると、彼女は『是非、ウェルカム!』素敵な返事をくれました
訪れると店内はスカスカ、当然病み上がりで仕入れなど捗る訳がありません(up画像は1年前のもの)
再び元気になって戻って来てくれ、このお店を沢山のヴィンテージスタッフで埋める意気込み
何よりも元気な顔を見れたのは何よりの仕入れの収穫
私たちは更にファンになり、日本に居る沢山の雑貨やお洋服好きの方にAliさんの世界観をお届けします
今回は仕入れならずとも太郎くんと、この様な一日も経験しながら旅は続きます
Hoxton – London
day 6
イングランドの仕入れはひと段落し、サポートを頑張ってる太郎氏にも癒しタイムを
ロンドンイーストエンド、ホクストン
過去は貧民街
現在はロンドンのお洒落さんが集まる界隈
同行のタロウ氏、初ロンドンセントラルに目を丸くして街中、行き交う人々に注目ですが、四十路の私は花より団子
近隣のベトナミーズ料理が立ち並ぶ界隈
2003年ロンドンで、右も左も分からない私に貴重な救いの手を差し伸べてくれ出来た友人に教えられた場所
向かいのオーガニック食材屋にてワインを購入し持ち込み
バインセオとフォーガーに最高のマリアージュを楽しむ至福の時間
16年経過しても変わらない遺産として新たにロンドンに連れて来た若人を幸福にさせてくれます
さあ、フランスへ
London to Paris via Dusseldorf
Eurowings 9404
ヨーロッパが何やらキナ臭く感じる
スケジュールがタイトすぎて、現地で明日明後日の予定を決めるのが精一杯
翌日のパリへの移動を調べると直行便は手の出せない値段
私たちがLondon-Parisの移動で選んだのはまさかのユーロウィングス、デュッセルドルフ経由のパリ行き
例のBrexit(英国がEU離脱に関しての問題)に対するEU諸国からの
『EU離脱したらこんななるぞ!的な見せしめ』取り締まりがドーヴァー海峡を渡る陸路、空路含めとても厳しくなっていると聞いた翌日早速それを体験する事に,,,トホホ
飛行機がパリCDGに到着しボーディングブリッジが設置し、降りる準備を進めていると
まさかのフランスイミグレオフィサーの機内乗り込み抜き打ち荷物検査
私たちのリュックも完全にひっくり返され、イギリスにて買い付けたもの
1つ1つのインボイス、レシートから細かく点検され、時間は1.5時間を要し解放….
バゲージクレーム(荷物受け取り)に向かった時は最早私たちの荷物がどこに届いたかの便名すら明記されておらず
円形の作りとなっているCDG空港T1、タロウ氏右往左往……たまに回転…(笑)
これ……本当に初めてヨーロッパ来た方とかどうなんでしょう
こんな検査されて、ボーディングブリッジに閉じ込められ、挙句荷物がどこいったか分からないなんてパニックですよね
18年ヨーロッパで飛行機に乗りボーディングブリッジで検査を受けるなど、こんな事は初めての経験
自由に往来出来たEU、何かが変わって来てるのか??
直感的に何か嫌なものを感じ、1日パリ滞在を止め急遽国境を超え車をベルギーへ走らせる事に
そもそも明日明後日の予定も決めてない旅程、タロウ氏が目を丸くするのもまた経験となる
Place du Jeu de Balle – Bruxelles
ジュドバル広場の蚤の市
急遽パリを折り返し向かったブリュッセル
前日U.K.からの大移動とすったもんだがあり、21時に飛び込んだフランス-ベルギー国境の簡易ホテル
バタンとベッドに吸い込まれたいが、ここからもう一仕事
タロウ氏と夕食を一緒に食べる事は18年の年齢差を埋めるコミュニケーション場として大事な事
夜はタロウ氏にしっかり地の物の味を美味かろうがまずかろうが冒険もさせ
恥もかきながら食べさせ彼のDNAに記憶させる
フレンチ、ベルジアンスタイルの私個人的に大好きな堅苦し過ぎないレストランバーにてルビー、ブロン
様々な生ベルギービールと夕食でひとまず乾杯、長い一日はこうして終わる..
翌朝
旅も10日目を迎えかなり疲れが溜り身体が不調を訴える
特に眠気が酷く、早朝の運転にも関わらず水筒から目に水をかけても瞼が重くなる
タロウ氏、横でいびき….
彼は別のミッションを持っている、いいんです
気温零下の中、それでも仕入れは待った無し
10年振りのジュドバルは良くも悪くもジュドバル蚤の市であった
CHAFF – Bruxelles
日も昇らぬまま、空腹のまま車を走らせ、零下の気温に身体を震えさせながらの仕入れを終え
オアシスに辿り着く事が出来る
何度も言うが、旅とはやはり人生の縮図であるかの様
苦難の先には光が待つと信じたい
Bruxelles central
重い荷物を背負ってもついつい画像を追いかけてしまう、ヨーロッパの落書き
ブリュッセルの町並みは至る所タンタンに会えます
Manneken Pis – Bruxelles
ブリュッセルと言えばコレ
太郎氏全く興味なし、前のベルギーワッフルに大興奮
彼、本当に甘いもの好きなんです
Netherlands
???『オランダです!オランダが広がってます!』
そう、車はベルギーを超えオランダへ!更に北上!北上!
Amsterdam Centraal
飾り窓、コーヒーショップのアムスワードが立ち並ぶこの都市で
この様なほんわかした写真が撮れると嘘に感じてしまう
2003年初めて訪れたアムステルダムは超怖かった
日が沈むタイミングでアムス中央駅に到着
間も無くやって来る闇と同時に中央駅にたむろする輩が今にも全員で襲って来る!
と思った程この都市の最初のインパクトは凄かった
一方、このぬくぬくの気候の下
タロウ氏はオランダのスイーツ買い食い三昧に運河を練り歩き、機嫌良し
タロウ『アムス、全然怖くないっすね~、このオランダスイーツ美味しいっすね~』…イイね、若人
Amsterdam
時計、アクセサリー、革小物、雑貨、インテリア雑貨、洋服、生地、素材
ユニセックス、レディース
ジャンル、テイスト、年齢層
縦軸、横軸、しかと埋まる様に回る国、フェア、アポイントを絞って決め打つが
アンティーク、ヴィンテージの一点ものはそう簡単に答えをもらえない
12日目、何か背負うビハインドの気配、野球で言えば7回ウラあたりか
焦りも感じる中、頭の中にいつものコメントを染み渡らせる
(ゴール)出るときはケチャップの様にドバドバ出る
サッカー元日本代表、本田圭佑が無得点が続く試合でマイクを向けられ放った一言
安易に甘い球だけを叩けば良いだけでなく、買い付け脳が最も試される時間帯
その間にタロウ氏はどんどん大陸に染まり、人が変わっていく
私は横目でその姿に微笑ましく見つめるも生唾を飲み込み、頭の中で切り札を考えハンドルを握る
オランダ-ミリタリーウェア、ワークウェアを幅広く収集するディーラー倉庫へ
我慢に我慢を続け優秀な商材だけにスポットを絞り、耐えてきた私達に晴れ間が見え始めます
遂に、待ち続けた物達に出会えてきたこの時、私たちの興奮も高まります
Amiens – France
オランダ-ベルギー-フランスと巻き戻しフランスへバックホーム、アミアンへ
雑誌の表紙に出来そうなスポットだらけの所で私たちは買い付けを楽しむ事が出来ています
50代になったらエイメク / ブラウベルグのお客様案内してツアーでもゆっくり回りたいなぁとふと思う旅の14日目
フランスへの憧れはサヴィニャックの影響はとても強かった
この手のヴィンテージを見ると19年前と変わらず反応してしまう
さあ、ゴールまであと少し
Paris – Central
様々なピンチを迎えたこの旅路も
クローザー太郎氏がとても頑張り9回をズバッと締め
ご褒美の90分パリ観光へ…
コダイラ 『太郎!パリ90分フリータイムだぞ!どこ行きたいんだ!?』
タロウ 『はい、デュプティック本店行きたいです!』
コダイラ心の声 (ええっ!?マジか!日本で余裕で買えんだろ…)
コダイラ 『おっ、おう…分かった…5区ね..』
19歳の年の差の若人の心の中はなんともな…
Taro’s Before-After 1
day 1 太郎氏の姿
異国に連れてかれた捕虜
車の中は目の前を一点に見つめ真空状態
このパターンであと14日か…先が思いやられた初日
Taro’s Before-After 2
day 11 太郎氏覚醒の予感
『みなさん、オランダです!オランダが広がってます!』
この名言はここで生まれる事に
異様なVTRですが、決してコーヒーショップへは役目上連れて行っておりません
素による彼のもう一つのキャラクターが生まれた瞬間でした
買い付けと共に、ここからは私がカメラを止めるな状態へ…
Taro’s Before-After 3
day 14 太郎氏完全解凍
最初の一週間は全く波に乗れず、サポートどころか自分の身辺で精一杯、でもこれが普通なんです….
これではマルは押せないなと
復路の東京行きのチケットをそっとラゴス(ナイジェリア)行きに変更し更に修行を課すつもりでした
とても素直で従順で年上にはとても好かれる身
職場でスーパー仕事出来る上司がいるならば、従順で良い部下として君臨するのですが
岐路で自身で考えベストアンサーを出す思考が凍結していたのです
誰しもいつかは下に教え、先生として見られ、親として子供に教える日が来るのです
かつて私は師匠に、遊ぶのは25まで、その先はしっかり上に立つ身として仕事、プライベート、どちらも常に目標の存在を置き自分を大きくしていけと教わりました
2019年もまた一緒、この先の雑貨業界、アパレル業界、または彼が他の道を選んでも
オリンピック後の日本の社会を大人として乗り切るにはやはり自分で考え最善の答えを自分で見つけ
最高の友人、ライバル、伴侶を作り悔いのない人生を作っていく事です
自分の未来はどうなりたいのか問うと、彼もまた同じ土俵に立ちたいと言い切りました
その答えをもらい、私も彼のとても大事な時期の未来を預かっている身と感じ
とても厳しく、ごくたまに愛を持って接しました
ここでもうダメかなと思ったポイントは多々ありましたが、彼は自分で蜘蛛の糸を這い上がりました
持っていたのは素敵なご両親の元培われた素直さと根性でした
一見私達の世界は華やかです
今は外見や企画だけでチヤホヤされても、いつかは剥がれ落ちる鱗、容姿などただの1コンテンツの武器、防具にすぎません
しっかり自分を形成し、引き出し、チャンネルを持つ事、厳しい事、嬉しい事、悲しい事を経験する事で、初めてその方の気持ちに入る事ができるのです
海外で仕事するという事は当然厳しい事の方が多く、しかし、そこを乗り切ると自分でもびっくりする位成長するポイントも待っています
Before-After画像を見てどうでしょうか 、24歳の短期間での進化も恐るべしですが
そのチャンスを生かした彼の努力は尊敬に値します
褒めちぎってますが、気持ちよすぎて元のぬるま湯に戻るのもまた日本の一長一短
後は皆様の厳しい目線で、日々ドラム缶風呂に空気を吹き続け、追い炊きを続けてください
彼がぬくぬく気持ちよさそうなら
私が中南米でもアフリカでも過酷なサヴァイヴァルツアーを用意しておきます
Taro’s Before-After Encore
day 12 カメラを止めず偶然生まれた画像(オランダの文房具店です)
太郎氏は見えない所で追い込まれ、自身の奥深い何かにスイッチが入ったのでしょう
日本ではありえない体験、海外の生き抜くための試練ってやはり凄い
この画像の顛末はお店にて直接聞いてあげてください
15.Avril.2019 14:00 / Cathédrale Notre-Dame de Paris
2019年4月15日 午後2時、パリ滞在90分の中の最後の一コマ
この日、待ちに待った気持ち良すぎる晴天、気温もようやく春らしさが感じられ
私たち含め、世界中の観光客がごった返しパリの観光、平和を満喫しておりました
画像後方部に写るノートルダム寺院、私たちがフライトの為パリを後にした3時間後
日本行きの便に搭乗する頃火災に包まれました
世界遺産でも特に観光の目玉となっていた寺院
パリ市民ならず、世界中の方々を落胆させた事故ですが
パリジャン、パリジェンヌの底知れぬポジティヴさで、負けずに生まれ変わるパリ
意地悪だけど、たまにとても素敵な事が待っているフランスを見せてくれる事を祈り
次のフライトを楽しみにしております
いかがでしたでしょうか
15日に及ぶ、イングランド-フランス-ベルギー-オランダまでを繋いだ旅路
アンティーク、ヴィンテージの仕入れに留まらず、様々な人間模様、歴史の1ページ
日替わりで目の色が変わるスタッフの成長が見れ、この様な旅に任せて出してくれるお客様
日本を守ってくれるスタッフに感謝です
eimeku / Blauberg an der Küste 共にこの24,000キロを旅した雑貨達は既に両店舗に入荷しております
スタッフからも、一つ一つのストーリーを聞きながら
商品と共に皆様にも旅をしている気持ちに少しでもなって頂けたら嬉しいです
コダイラ